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高校数学を最短で復習するメソッド1

sinθの微分は\frac{d}{dx}sin \theta \ = \ cos \thetaとなり、結果はよく知られている。sinθの微分を定義から導き、用いる定義の証明を随時行っていきながら、高校数学について最短で復習することを試みよう。

まず微分の定義をおさらい
  \displaystyle \frac{d}{dx} f(x) \ = \ \lim_{\Delta x \to 0} \frac{f(x + \Delta x)-f(x)}{\Delta x}

sinθの微分を定義により導く
  1. \ \displaystyle \frac{d}{dx} sin \theta \ = \ \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{sin(\theta  + \Delta \theta)-sin \theta}{\Delta \theta} \\  2. \ \displaystyle \frac{d}{dx} sin \theta \ = \ \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{sin \theta cos \Delta \theta + sin \Delta \theta cos \theta -sin \theta}{\Delta \theta} \\  3. \ \displaystyle \frac{d}{dx} sin \theta \ = \ \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{sin \theta (cos \Delta \theta -1) + cos \theta sin \Delta \theta}{\Delta \theta} \\  4. \ \displaystyle \frac{d}{dx} sin \theta \ = \ sin \theta \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{(cos \theta -1)}{\Delta \theta} + cos \theta \displaystyle \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{sin \Delta \theta}{ \Delta \theta } \\  5. \ \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{(cos \theta -1)}{\Delta \theta} = 0 \\  6. \ \displaystyle \lim_{\Delta \theta \to 0} \frac{sin \Delta \theta}{ \Delta \theta }=1 \\  7. \ \displaystyle \frac{d}{dx} sin \theta \ = \ cos \theta
1では加法定理を用いて2を導く。5はcosθの極限から求まる。6は非常によく用いる結果である。関連する定理の証明は以下に示しておいた。sinθの微分を定義から導くだけで、加法定理や余弦定理、\displaystyle \lim_{\theta \to 0} \frac{sin \theta}{ \theta }=1の証明からはさみうちのテクニックまで確認できる。慣れると頭の中で5〜10分あれば思い起こせて、効率的に復習できるのではないか。



加法定理の証明
加法定理
図は半径1の四分の一円である
1. 2点の座標より線分PQの長さを求める
  |PQ|^2=(cos \beta - cos\alpha)^2 + (sin\alpha - sin \beta)^2 \\  2-2(cos \alpha cos \beta + sin \alpha sin \beta)
2. 余弦定理より線分PQの長さを求める(余弦定理の証明は後に示してある)
  |PQ|^2=2-2cos( \alpha - \beta)
3. 1、2より
  cos( \alpha - \beta)=cos \alpha cos \beta + sin \alpha sin \beta
4. 3より三角関数の基本性質から以下が導かれる
  cos( \alpha + \beta) = cos( \alpha - (- \beta)) \\  =cos \alpha cos(- \beta) + sin \alpha sin(- \beta) \\  =cos \alpha cos \beta - sin \alpha sin \beta


  sin( \alpha - \beta) = cos( \frac{ \pi }{2} - ( \alpha - \beta )) \\  = cos(( \frac{ \pi }{2} -  \alpha) + \beta ) \\  = cos( \frac{ \pi }{2} - \alpha) cos \beta - sin( \frac{ \pi }{2} -  \alpha) sin \beta \\  = sin  \alpha cos \beta - cos \alpha sin \beta


  sin( \alpha + \beta) = sin( \alpha - (- \beta)) \\  = sin  \alpha cos(- \beta) - cos \alpha sin(- \beta) \\  = sin  \alpha cos \beta + cos \alpha sin \beta



余弦定理の証明
余弦定理
  |PQ|^2=|PR|^2+|QR|^2 \\  =(|OP|sin \theta)^2 + (|OQ|- |OP|cos \theta)^2 \\  =|OP|^2sin^2 \theta + |OQ|^2 + |OP|^2 cos^2 \theta -2|OQ||OP|cos \theta \\  =|OP|^2 + |OQ|^2 - 2|OQ||OP|cos \theta \\



\displaystyle \lim_{ \theta \to 0} \frac{sin \theta}{ \theta }=1の証明
six:x
図は半径1の四分の一円である
1.線分PS<弧PR<線分QRに注目し、各長さを求める [latex] 1. \ |PS|=sin \theta \\ 2. \ \frown PR= \theta \\ 3. \ |QR|=tan \theta \\ 4. \ sin \theta < \theta < tan \theta \ \ (1,2,3)\\ 5. \ 1 < \frac{\theta}{sin \theta} < \frac{1}{cos \theta} \ \ (4)\\ 6. \ cos \theta < \frac{sin \theta}{\theta} < 1 \ \ (5)\\ 7. \ \displaystyle \lim_{ \theta \to 0} cos \theta=1 \\ 8. \ \displaystyle \lim_{ \theta \to 0} \frac{sin \theta}{ \theta }=1 \ \ (6,7) \\ [/latex]

ε-N論法

自然数n(1,2,3,4,5…)について、nが大きくなるに連れて数列a_nはどんな値になるだろうか。

例えばa_n=1/nのとき
n=100 -> a_n=0.01
n=1000 -> a_n=0.001

と小さくなっていくことは分かるが、nが無限に大きくなった時に一つの値になることがある。
これを極限値といい、極限値があることを収束するといい、極限値が定まらないことを発散するという。しかし本当に収束するのかどうかをどうやって調べればいいのだろうか。

高校で習った \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n}=0 は単に収束するという事実を表現しているに過ぎない。

ここで数列の収束について定義を用いよう。
[定義]ある正の実数εに対して全てのN番目の自然数がある。n>=Nのとき|an-a|<εを満たすならば、数列a_nは収束して極限値aをもつ。 これを記号で書くと  \exists \epsilon >0, \ \forall N \ s.t. \ n \geq N \rightarrow | a_n-a |
のようになる。

この定義を用いて数列の収束を議論することをε-N論法という。
定義そのものの説明は別の機会として、これを用いて具体的に証明することを試みる。

 \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n}=0 については
 \exists \epsilon >0, \ \forall N の条件で
 n \geq N \rightarrow | \frac{1}{n}-0 |が導かれれば証明できる。

事前準備として
  1. \ |\frac{1}{n} - 0 | < \epsilon \\  2. \ \frac{1}{n}< \epsilon \\ 3. \ n> \frac{1}{\epsilon}
を計算しておこう

  1. \ \exists \epsilon >0 \hspace{10em} A \\  2. \ \forall N \> \hspace{11em} A \\  3. \ n \geq N \hspace{10em} H \\  4. \ n > \frac{1}{\epsilon} \hspace{10em} 1,2,3 \\  5. \ \frac{1}{n}< \epsilon \hspace{10em} 4 \\  6. \ |\frac{1}{n} - 0 | < \epsilon \hspace{8em} 5 \\  7. \ n \geq N \rightarrow |\frac{1}{n} - 0 | < \epsilon \hspace{3em} 3-6 \\

1と2の定義と3の仮定から4を得る。つまりεは正の実数であればどんな値でもよいので、自然数Nは変数εの関数に置き換えることができる。事前に計算をしておいた逆の手順で、4〜6までが導かれる。よって3の仮定ならば6であることが7によって示されている。従って、定義により数列1/nは収束し極限値0を持つことが証明された。 数列1/nの極限について、ε-N論法の言及はするものの、”n>Nとなるようなεは確かに存在する”というだけで説明を終えている書物が多い。そこで具体的な証明方法を説明してみた。
次の文献はε-δ論法についての証明だが、非常に分かりやすいので紹介しておく。
ε-δ論法による証明例

行列式の定義

線形代数において最も重要な指標である行列式は、有用で扱いやすいにも関わらず、行列式そのものがどのように定義されているかを理解するのは案外面倒である。

まずは高校で習った2*2あるいは3*3の行列式を求める公式をおさらいしておこう。たすき掛けの公式だ。

【2*2の行列式】
\begin{array}{|cc|}  a_{11} & a_{12}\\  a_{21} & a_{22}\\  \end{array} = a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}

【3*3の行列式】
\begin{array}{|ccc|}  a_{11} & a_{12} & a_{13} \\  a_{21} & a_{22} & a_{23} \\  a_{31} & a_{32} & a_{33} \\  \end{array}=a_{11}a_{22}a_{33}-a_{11}a_{23}a_{32}-a_{12}a_{21}a_{33}+a_{13}a_{21}a_{32}+a_{12}a_{23}a_{31}-a_{13}a_{22}a_{31}

3*3までは公式があるので覚えるだけで良いが、それ以上となると定義を理解していないと計算ができない。

m*nの行列Aについて
  A = \left(  \begin{matrix}  a_{11} & a_{12} & \ldots & a_{1n} \\  a_{21} & a_{22} & \ldots & a_{2n} \\  \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\  a_{m1} & a_{m2} & \ldots & a_{mn}  \end{matrix}  \right)

行列Aの行列式をdet(A)と表し、以下のように定義されている。
  det(A)=\sum_{\sigma}sgn(\sigma)a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}a_{3\sigma(3)}\ldots a_{n\sigma(n)}

この定義から行列式特有の性質が導かれ、それらを利用する事でどんな行列式も計算が可能となるのである。しかしこの定義は一見何だかわからない。いきなり理解はできないので、まず数字の並び順について考えてみよう。並び順とは、例えば(1234)という数字の並びがあって、入れ替えることによって得られる並び方、例えば(1243)や(3124)などである。並び替えるには2個の数字を入れ替えるという作業を繰り返すこととなる。

(1234)から(3412)へと並び替えるには、1と3を入れ替えてから2と4を入れ替えるとよい。
  (13):(1234)\to(3214)\\  (24):(3214)\to(3412)\\
2個の数字を入れ替える作業を互換という。互換を繰り返してある並び順にすることを置換といい、例えば(1234)の置換はσで表すと4!=24個ある。

  \sigma_1=\left(\begin{array}{cccc}1 & 2 & 3 & 4 \\1 & 2 & 3 & 4\end{array}\right),  \sigma_2=\left(\begin{array}{cccc}1 & 2 & 4 & 3 \\1 & 2 & 4 & 3\end{array}\right),  \sigma_3=\left(\begin{array}{cccc}1 & 3 & 2 & 4 \\1 & 3 & 2 & 4\end{array}\right),  \ldots,  \sigma_{10}=\left(\begin{array}{cccc}1 & 3 & 2 & 4 \\2 & 3 & 4 & 1\end{array}\right),  \ldots,  \sigma_{24}=\left(\begin{array}{cccc}1 & 3 & 2 & 4 \\4 &3 & 2 & 1\end{array}\right)
となり、これをより一般的に表すと、
  \sigma=\left(  \begin{array}{cccc}  1 & 2 & 3 & 4 \\  \sigma(1) & \sigma(2) & \sigma(3) & \sigma(4)\\  \end{array}  \right)
となる。

置換の方法は一意ではないが、何回互換を行うかの数は常に決まっている。互換が偶数回で得られる置換を偶置換、奇数回で得られる置換を奇置換という。

互換回数が偶数か奇数かによっては符号のみ変化するのだが、それのことは次の差積によって説明しよう。
  F(x_{1},x_{2},x_{3},\ldots,x_{n})=(x_{1}-x_{2})(x_{1}-x_{3})(x_{1}-x_{4})\ldots(x_{1}-x_{n})\\  \times (x_{2}-x_{3})(x_{2}-x_{4})\ldots(x_{2}-x_{n})\\  \times (x_{3}-x_{4})\ldots(x_{3}-x_{n})

ここで任意の変数xpとxqには3つの入れ替え方がある。
  (x_{q}-x_{p})\\  (x_{q}-x_{i})(x_{p}-x_{i})\ i=1,2,\dots,q-1\ or\ i=p+1,\dots,n\\  (x_{q}-x_{i})(x_{i}-x_{p})\ i=q+1,q+2,\dots,p-1
1番目は符号が入れ替わるが、2番目はiがqより小さくpより大きく3番目はiがqより大きくpより小さいため符号が変わらない。このように、どのような互換を経てもFはFか-Fとなる。一回の互換で符号が変わるので、最終的に互換の回数が奇数の場合はマイナス、偶数の場合はプラスと定まる。

ここで偶置換か奇置換によって得られる符号関数を、sgn(σ)=1(偶置換のとき),-1(奇置換のとき)と表す。

さて、もう一度行列式の定義を見てみよう。今度はsgn(σ)やa1σ(1)が何であるかが分かるだろう。

  det(A)=\sum_{\sigma}sgn(\sigma)a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}a_{3\sigma(3)}\ldots a_{n\sigma(n)}


あえて言葉で説明するなら、m*nの行列Aについてそれぞれの行番号に対応する置換された列番号の要素の積に、偶置換か奇置換かによって変化する符号関数を掛けたものを総和する、というものが行列式ということになる(日本語あってるのか?)

実は、定義を理解するのが難しいのではなく、表現するのが難しいということに今気がついた。

ベクトル・行列のコマンド

\vec{a} = (a_1, a_2, \cdots, a_n) \vec{a} = (a_1, a_2, \cdots, a_n)
\overrightarrow{ab} \overrightarrow{ab}
A= \left(
\begin{array}{c}
a_1 \\
a_2 \\
\vdots \\
a_n
\end{array} \right)
  A= \left(  \begin{array}{c}        a_1 \\        a_2 \\        \vdots \\        a_n      \end{array} \right)
\|x\|, \vec{a} \perp \vec{a}, \vec{a} \parallel \vec{a} \|x\|, \vec{a} \perp \vec{a}, \vec{a} \parallel \vec{a}
{}^tA, A^{T} {}^tA, A^{T}
\vec{a} \cdot \vec{b}, A \times B \vec{a} \cdot \vec{b}, A \times B
\left(
\begin{array}{cc}
1 & 22 \\
333 & 4 \\
\end{array}
\right)
  \left(  \begin{array}{cc}  1 & 22 \\  333 & 4 \\  \end{array}  \right)
\begin{array}{|cc|}
1 & 22 \\
333 & 4 \\
\end{array}
  \begin{array}{|cc|}  1 & 22 \\  333 & 4 \\  \end{array}
A = \left(
\begin{matrix}{cccc}
a_{11} & a_{12} & \ldots & a_{1n} \\
a_{21} & a_{22} & \ldots & a_{2n} \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
a_{m1} & a_{m2} & \ldots & a_{mn}
\end{matrix}
\right)
    A = \left(      \begin{matrix}{cccc}        a_{11} & a_{12} & \ldots & a_{1n} \\        a_{21} & a_{22} & \ldots & a_{2n} \\        \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\        a_{m1} & a_{m2} & \ldots & a_{mn}      \end{matrix}    \right)

極限・微積分のコマンド

\lim_{x \to \inf} f(x) \lim_{x \to \inf} f(x)
\limsup_{x \to \inf} f(x) \limsup_{x \to \inf} f(x)
\liminf_{x \to \inf} f(x) \liminf_{x \to \inf} f(x)
f'(x), f”(x), f^{(3)}(x) f'(x), f''(x), f^{(3)}(x)
\frac{dy}{dx} \frac{dy}{dx}
f_{x}, f_{xy} f_{x}, f_{xy}
\frac{\partial y}{\partial x} \frac{\partial y}{\partial x}
\Delta, \nabla^2 \Delta, \nabla^2
\int_a^b f(x) dx \int_a^b f(x) dx
\iint_D f(x) dx, \iiint_D f(x) dx \iint_D f(x) dx, \iiint_D f(x) dx
\oint_L \mathbf{A} \cdot d\mathbf{r} \oint_L \mathbf{A} \cdot d\mathbf{r}

数式の基本コマンド

x^2 x^2
\frac{a}{b} \frac{a}{b}
\left( \frac{a}{b} \right) \left( \frac{a}{b} \right)
|x| |x|
\sqrt{x^2+y^2} \sqrt{x^2+y^2}
\sqrt[n]{x^2} \sqrt[n]{x^2}
\sin x \sin x
\cos x \cos x
\tan x \tan x
\mathrm{e}^{x} \mathrm{e}^{x}
\ln x \ln x
\log_2 x \log_2 x
\sum_{i=0}^n x_i \sum_{i=0}^n x_i
\prod_{i=0}^n x_i \prod_{i=0}^n x_i
(本文以外では)\displaystyle \prod_{i=0}^n x_i \displaystyle \prod_{i=0}^n x_i